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生きている人体 養老孟司

本・出版物
01 /04 2023
思春期の体を写真で確認できる本があるかと問われると、この本かな。

日本では、からだの説明をする本などは、幼児をモデルにしている場合が多い。
近代化以降、成人の裸は見せてはダメだという文化・社会を作ってきたから
表現をする際は、子供の裸を使ってからだの説明するようにしてきたからだ。

この本では、そんな回りくどいことをしておらず
説明をするのに、成熟したからだ使っているわけで、ある面正しい取り組みだ。
モデルさんは成人の男女、おそらくカップルを採用したのだろう。
このカップルは、最初から裸。もちろんからだを見せるのがモデルの役割。
一部を隠すとかするとかえっていやらしいけど、全部見せると自然な感じになる。

実はこれ、日本で作られた本ではなく
ノルウェーの本を日本語に翻訳して出版したものだ。養老先生が監訳をしてる。
養老先生は、モデルが外国人の方が有利だと書かれていた。
日本人がモデルだと、「誰が」という個人の方ばかり注目されるからだそうだ。
確かにわかる気がする。

各器官や機能の説明は成熟したからだを使っているのだが
からだを扱う本の中では、成長や老化などの変化を説明することが必要だ。
そこで、さらに二組の男女のモデルさんが採用されていた。
思春期のからだを説明するモデルさんと、老人のからだを説明するモデルさんだ。

思春期のモデルさんは、均整のとれたすばらしい体系だった。
男子は、陰茎がふっくらと膨らんでいるが、陰毛は上の方だけ生えてきている状態。
女子は、胸が少し膨らみ始めていて、陰毛はやはり上の方に生えてきている状態。
思春期を分類したタナー段階でいえば、変化の真ん中になる「3」~「4」あたりだろうか。
見せるということから言えば、とてもよく選ばれたモデルさんだった。

性器だけとか、胸だけを比較や協調してただ見せるような意図がないし
医学論文のようにからだをモノのように表現するような意図もない
全身のプロポーションがきれいに見えて、生きているからだを感じる写真だ。

養老先生が言われているとおり、こういう本を教育に使うとよいかもしれない。
ちなみに出版された本は、「日本図書館協会選定図書」認定されている。

  生きている人体  養老孟司監訳   1996年・時空出版

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外房漁夫の古写真

本・出版物
05 /06 2017
千葉の外房で、漁夫が裸で作業をしていたことは何度かとりあげた。

古写真で確認できるものがあったので、紹介しておこう。
戦後あたりの写真だと、小関与四郎の写真集がとりあげられるのだけど
今回のは昭和初期に新光社により発行された書籍からだ。

  懐かしさ、以上の、何か。日本地理風俗大系 昭和5年、全18巻より。
  
日本地理風俗体系で、各地の地形、産業、生活などが紹介されており
今となっては、貴重な写真もたくさん収められている。

今の日本とは国土の範囲も違うからね。台湾や朝鮮の様子があるし
南方の諸民族の姿も、日本の風俗として紹介されている。

海女さんの姿や南方女性の姿は、おっぱい丸出しだったりするけど
素っ裸の男となると、それが千葉の漁夫なんだよね。
漁夫の姿は、日本地理風俗体系第3巻「関東南部」に掲載されていた。

紹介したブログの画像では見えないが、写真に次のような説明がある。

「溌剌(はつらつ)たる漁網作業」
 (一部略)
写真は鴨川町(現:鴨川市)沖の鰮(イワシ)漁の光景。
 (一部略)
終日波濤躍る中に命を的に作業する漁夫達は、夕凪の頃となれば
おびただしい漁獲物を積んで浜へと急ぐ。
浜には、船を待つ人たちがあって、すぐに伝馬船を漕ぎ出していく。 
図は逞しい肉体美の漁夫達が、その伝馬船に鰮をうつすところ。

実際には旧字で書かれているので、かなり読みにくいけどね。

図書館や古本屋で、こういう書籍は見つかるだろう。
今回紹介はしなかったが、銚子市の歴史を紹介する写真の中にも
裸でイワシを積み替える漁夫を見たことがある。

時代は変わったね。


映画一路

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